身支度をしながら、われながら、ものずきだなあ、と自嘲気味な気分にもなったけど、
少々の雨に打たれるのが好きなんだ、と、いそいそと長靴をはく。
ちっとも苦痛でない。
走り出せば、むしろ快感。
こんなふうに天からふってくるものと生でやりあえるのだから。
走りながら、ギリシア神話のひとつの場面が浮かぶ。
ゼウスが金の雨になってダフネにふりそそぐ。
街の中で、天と密通しているなんて、誰も知らない。
まさに秘め事?
塚田さんの「温室」があったビルの屋上を脇目にみて、
月に向かって活けた花を見にいったことをまざまざと思う
あの男は月と通じていたのだ。
空っぽになった屋上、温室は月にいっちゃった。
それぞれがそれぞれのやりかたで天と交わる。
街の小雨は、田舎の雨よりも、芳醇だったりする。
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